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フランスの北の海辺 ール・アーヴルー

2011の春、パリでのルーテイーンな忙しさに疲れた私は ふと海が見たくなった。
でも、風光明媚な地中海は遠すぎる。
それでは、パリからもそんなに遠くない北の海にしようと、一泊二日の一人旅を計画した。
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平年に比べると、この年の四月はあたたかだった。写真はなんとなく天気が悪そうだけれど、この日は初夏のような気候で海岸にはかなりの数の人々が。

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 ニースの海岸のような華やかさはないけれど、どこか野生の海といった迫力がある。思索にふけるにはぴったりの海岸だ。

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  ホテルは、海岸から歩いて10分もかからないところにあるちいさなホテル。
  海の見える部屋を予約した。

 
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 海のまん前というわけではないけれど、海に浮かぶヨットが遠くに見えて素敵。部屋にはたくさん窓がついていた。開け放すと、潮風が部屋いっぱいに押し寄せる。天国にいるみたい。贅沢な海辺の夕暮れ。
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 明日はエトルタまで行ってみよう。

Hotel des Phares :3, Place Clemanceau-76310 Sainte-Adresse
www.hotellehavre.fr



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by kuro_music | 2014-11-30 20:48 | たび

サン・マルタン運河沿い

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もう、あとはクリスマスめがけてまっしぐら!!という冬気分でいたある日、突然のプレゼントのようなお散歩日和の週末が訪れた。
そこで、最近注目されているスポット、サン・マルタン運河沿いを歩いてみることに。いたいた!老若カップルに観光客。このあたりの普通ぽくて、すこ~しさびれた雰囲気がとてもいい感じ!パリに10年も住んでいるのに、一度も歩いたことのないゾーンだった。
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このあたりは、セーヌ川沿いの「いかにもパリ」的な感じじゃなくて、むしろほかのヨーロッパの街に共通する雰囲気がある。個人的には、ミラノのナヴィリオ地区を思い出してしまった。
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この先には、M.カルネの「北ホテル」の舞台となったホテルがある。現在に至るまで、ちゃんと現役!!
想像していたよりも、ずっとちいさなホテルだった。ここのレストランは結構有名で、人気スポットらしい。

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それからすぐ先に、近頃話題のサロン・ド・テがある。 外見は目立たないのに、扉を開いてびっくり。可愛い!!ー そういえば、" kawaii" はすでにフランスでも使われ始めている言葉。 それにしてもこの店、代官山あたりにありそう!
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 お店の名前は、"La Chambre aux Oiseaux"(ラ・シャンブル・オ・ゾワゾー/鳥たちの部屋)。 パリではめったにお目にかかることのない、とびきりおいしいフィルターコーヒーがマグ・カップでたっぷり飲める。加えて、ここのケーキはすべて手作り、とくれば当然朝食も大人気(写真)!特筆すべきは、店のインテリア。味のあるアンテイークの家具や小物は見ているだけでもうっとり。素敵だからって、持って帰らないように!

La Chambre aux oiseaux - 48 Rue Bichat (10区)Metro:Republique Jacque Bonsergent




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by kuro_music | 2014-11-30 08:22 | パリでお散歩

1999年 9月

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その年の九月、私は留学先のウイーンからミラノに引越しをした。

引越しをしたとはいっても、オーケストラの仕事が月末から始まるというのに、まだ住む場所の検討がついていなかった。
しかたなく、私の引越しの荷物は「すべて」、私がイタリアで知っている唯一の住所であるオーケストラの事務所に届けられた。
そもそも住居に関しては、労働ビザなどの手続きのために日本から連絡をとった時、事務員がいとも簡単に「あなたの住む場所については、こちらで探しておきます」と言ったのを、うかつにも信じ込んでしまったのだった。
いわゆる、「イタリアの泥棒」とか、「イタリア男には気をつけろ」といったような、ステレオタイプの話についてはよく知っていたものの、結局それ以上はなにも知らなかったのだった。だから、頭からそんな電話での口約束を信じて事務所に行き、さて私の住む場所はと尋ねると、事務員にぽかんとした顔で「そんなこと、全く知らない」と言われて私は頭が真っ白になり、その場に立ち尽くしてしまった。
しかたなく、私は仕事場の近くに 看板の三ツ星のひとつが消えかかっている小さなホテルを見つけ、そこから毎日仕事に通うことになった。
そのホテルの裏手には小さいけれど手入れの行き届いた庭があり、朝食の時間になると真っ白な子猫がどこからかやってきて、私とブリオッシュを分け合った。

ミラノの街はまだ夏の気配が残っていて、午前中のやわらかい風は、まだ休暇の匂いを残していた。
仕事場の雰囲気は素晴らしかった。団員はさまざまな国から集まっていたが、やはりイタリア人がそのほとんどだった。
カテリーナという、小柄なイタリア人のヴィオラ奏者が最初に話しかけてきた。といっても、私はまだイタリア語で話すことなどできなかったのだが、彼女はいっこうに気にかける様子もなく 次々と新しいオーケストラの仲間を紹介してくれた。
 最初に紹介してくれたのが、一番の友達となるチェリストのマテオとヴァイオリニストのジャンピエロだった。背が高くて美男のふたりは、そろってラヴェンナ出身だった。内気な感じのするマテオと屈託のない、明るいジャンピエロ。
リハーサルの休憩時間になると、私たちはバールにカフェを飲みに行った。

 イタリアのコーヒー、つまり「おもいきり濃いエスプレッソ」は、始め私の好みに合わなかった。ウイーンで、メランジェという世にもまろやかなコーヒー(上に、繊細なメランゲのように泡立てたミルクがのっているのだが、カプチーノのようにもっちりした泡ではない。その下のコーヒーも、エスプレッソのような鋭さはない)に親しみすぎていたのがその理由である。それでもそのうちに慣れ、私も他のイタリア人たちと同じように、バールで濃いエスプレッソを飲むことが大好きになっていった。

仕事が五時半に終わると、私は広告や新聞の切り抜きを手に、アパート探しのためにミラノの西へ、東へと駆けずり回った。
家賃の高いミラノで、できるだけ家賃を安くきりつめようと、若い人たちは部屋をシェアするためにルームメイトを探している場合も多かった。オーケストラの団員たちも、その多くが家を他の団員とシェアしていた。私も、そんな募集をいくつか見つけて訪ねてみた。ところが、そのうちのひとつにはあきれてしまった!
 待ち合わせのメトロの駅で、24歳くらいでそばかすだらけの愛嬌のいい男の子が待っていた。彼はアメリカ人で、ミラノの大学で勉強しているという。彼に連れられて行ったアパートは、だだっぴろいひと部屋に、彼とあとふたり(!)の男の子たちが暮らしていた(彼らはただその平面をモノでくぎって暮らしていた)。
皆たいそう愛想がよくて、私が部屋に入っていくと、「こんにちは」と言いながらそれぞれの領域から部屋の中心に進み出てきた。さて、じゃあ私の部屋を見せてくださいと言うと、そばかすの彼は微笑を崩さずに ごくあたりまえのように「そこです」と言った。彼の指が指差していたのは紛れもなく私が立っていたあたり、部屋に入って三歩ほど歩いた壁側のゾーンのことだった。(確かに、その右側の壁のあたり何メートルかはがらんとしていた)。さすがの私も、こればかりは笑うしかなかった!冗談なら、上出来だ。この相撲部屋のなかに女ひとり、チョークかなにかで線でも引いて、その中でどうぞお好きに暮らして下さいというわけか?
 私は、エレベーターまで三人の特大スマイルに見送られながら あわてて立ち去った。



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by kuro_music | 2014-11-28 01:44 | イタリアで

パリでは有名人はあなたの隣で食事をする!

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今夜は、連れ合いとうちの近くのレストランで食事をしようということになった。
一日中楽器を練習して髪はボサボサ、洋服も普段着だけれどおなかはぺこぺこ。飢えた動物のように一刻を争う状態。
そんな時に私の住むカルテイエ(地区)はとても便利だ。 中華は軒を連ねているし、タイにベトナム、インド料理にギリシャ料理までがわずか5~600メートル以内にひしめきあっている。どこも価格は良心的で遅くまで営業しているので安心だ。
私たちは,界隈きっての人気店であるタイ料理の店に入ることにした。パリのレストランはせまいところにたくさん人が入るので、相席は日常茶飯事である。 この日も、待たされたあげくに真ん中の長いテーブルの中央二席だけがやっと空いたので ありがたくそこへ行かねばならない。隣とは、ひじがぶつかりそうな距離! しばらくして、なにげなく斜め向かいのひとの顔が眼についた。ーあれ?この顔どこかで見たなあ..., と思う。もうちょっとしてから、もう一度視線を向けてみる。 そこに座っていたのは、最近よくフランス映画で活躍している女優だった。そして、彼女の真向かいに座っていたのも(つまり私の横)、とても有名な女優だった。彼女たちは私たちと同じように、やはり普段着でノーメーク。話に夢中になっている普通の女の子たちのように見えたので、全く最初は気がつかなかったのだ。 そしてまわりの人達も、食事の始めから終わりまで誰も彼女たちの写真をとろうなんて考えないしサインもねだらない。
これは私は、とても大人な態度だと思う。 
フランスではとてもプライベートを大切にする。良くも悪くも皆、「自分勝手」なのである。
だから、ひとのことなんてどうでもいい代わりに自分のことも放っておいて!!という人々なので、パリ市長がホモセクシュアルだって 一体それが自分とどういう関係があるの?というわけだ。
仮にそばに有名人がいたって、職業は違っても働くもの同士という意味では平等。それに彼らはプライドが高いので、それが誰であろうとへりくだってサインをもらう自分を想像するとぞっとしてしまうのかもしれない(笑)。
ちなみにその店においては、その時だけでなく 何度もアナウンサーや大物俳優といったひとたちを見かけたけれど、本当に彼らはまわりに溶け込み、誰にも邪魔されずに楽しそうに食事をしていた。大物俳優が店に入ってきた時だけは、彼に気がついたひとたちが(自分たちのテーブルから)彼に挨拶したのだけれど、俳優の方ももとても気さくに彼らに挨拶を返していた。

これは余談だけれども、一週間ほど前にシネマテーク・フランセーズでも ちょっとびっくりすることがあった。
ベルトルッチの映画の大フアンである私は、その日彼の新作を見るために出かけていった。
その日は一般公開に先がけた、シネマテーク会員のための特別試写会で ベルトルッチ監督本人も来て挨拶をすることになっていた。 着くと入り口に黒いリムジンが横付けされているのが眼に入った。 もしやと思う暇もなく、リムジンの扉が開いて 足の悪い監督のために車椅子が用意されると中からベルトルッチが姿を現した。 この時も、写真を撮っていたのはほんの2~3人のプレスのひとたちだけで 他に人垣もなければ写真を撮っている人すら見当たらなかった。

さまざまな事情でさまざまな国から人々が寄り集まって暮らす街パリ。 そんななかで培われた個人主義。
人を意識はしているけれど、個々の境界線は潔く守る。
パリの粋というのは実はこんなところにある気がする。

Lao Siam(タイ料理)-49 Rue Belleville (19区)

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by kuro_music | 2014-11-27 01:37 | パリ、お気に入りアドレス

- CRACKS- 汚れなき情事(邦題)

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ベルトルッチの<ドリーマーズ> (2003) での鮮烈なデビューから、カジノロワイヤル(2009)まで水もしたたる美しさと独特の個性的な演技で観客を魅了してきたエヴァ グリーン。
エヴァの母親は、ゴダールなどヌーヴェルヴァーグの作品をはじめ、60~70年代フランス映画史を彩る作品群に出演してきた女優、マルレーヌ ジョベールである(最近、彼女は自分についての本を出版し、彼女の娘達 - エヴァには双子の妹がいる - も知ることのなかった自分の子供時代や恋愛、キャリア について書き話題になった)。
さて、今日はもしかすると それほど知られていないエヴァの出演作であり 、彼女の< ノワールな>魅力を堪能できる一本を御紹介しよう。

原題の < cracks > は、< ひび割れ >とか、ぱりっと物に亀裂が走る時の音を表す。(つまりこの作品においては 、女のデリケートなプライドに欲望や嫉妬によって亀裂が生じることを暗示しているのである)。
1930年代の英国。厳格な寄宿学校で、エヴァ演じる女教師 miss G は、その美貌とファッションセンス、機知に富んだ話し方などで女生徒たちの憧れの的である。彼女は事あるごとに(特に水泳の時間などで)生徒達に自己の開放を促すなど、まるて宗教のグルのようにふるまい、絶対的なカリスマをほしいままにしていた。
女生徒のグループの中ではダイという少女がリーダーで、miss G のお気に入りであると同時に 彼女の最も熱心な崇拝者であった。そんなある日、スペインの貴族の血をひく ミステリアスなフィアマという美少女がやって来る。
最初の水泳の時間に、その驚くべき飛び込みの技術で皆をあっと言わせた フィアマは、どこか超然としてい て 、他のおどおどした少女たちと比べれば その特別な魅力は疑う余地などない。そして そんな彼女に、miss G は 完全に魅了されてしまう。そのうえ、祖国から送られてくる夢のようなお菓子や、すばらしい香りのする香水。フィアマは少女たちが手に入れてみたいと思うものを片っ端から持っていた。
年少の少女たちは、たちまちフィアマを慕いはじめるが、完全にお株を取られてしまったリーダーのダイは 激しい嫉妬に苛まれることになる。
そんなある日、miss G の部屋でフィアマは自分あてに父親が世界各国から送った絵葉書の束を見つけてしまう。そのうえ彼女は、miss G が文学作品に描かれた冒険を、まるで自分が体験したかのように女生徒たちに話して聞かせていることを見破る。
必死にフィアマの関心を引こうと努めてきたmiss G を、フィアマは冷たく拒否するようになり
それでもなお、miss G はフィアマの愛と尊敬を手に入れることをあきらめることができない。 こうして少しずつ、missG の世界がゆらぎ始める。 miss G を追いかけるダイと、フィアマを追いかけるmiss G. このトライアングルの行き着く先は?

嫉妬にとりつかれたダイと、欲望に取り憑かれたmissG にとってフィアマという存在は、何が何でも乗り越えなければならない< 目的>、オブセッションになってゆくところがこの映画の面白さである。
miss G が、ありったけの勇気をふりしぼって寄宿学校の外のパン屋へ行くシーンは印象的だ。 ここで、それまでの<格好いい>miss Gのイメージは完全に消えて欠くなり、彼女がすでに自己コントロールを失い、実は 精神的に自立しているどころか、寄宿学校の外へ出ることさえ勇気のいるちいさな女の子でしかなかったことを暴いて見せるシーンだ。
もうあとは、崖を転がる石のように衝撃のラストまで突き進む。女性監督ならではの、鋭く繊細な心理描写、そして英国風ガーリーな味付けも効いている。 もしあなたが、エヴァのファンならば(私はもう、本当にファン!)、ただ単純に 彼女の30年代ファッションの見事な着こなしを見るだけでも楽しめる映画だ。

汚れなき情事 - (監督)Jordan Scott、(出演)Eva Green,Juno Temple /2009年(英)
<DVD>発売済み。
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by kuro_music | 2014-11-26 04:38 | kuroの試写室